六ヶ月という短い期間

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 したがって預けられた勝彦は、祖母、光田たつの手で六ヶ月という短い期間だが育てられる事になった。たったの六ヶ月で人間の何が変わる、と考える人がいるだろう。だが幼い時に刻まれた何かは、成人しても生きている。

 例えるなら幼児は透明な水である。そして成人した人間は濁った色である。透明な水に少量でも白い絵の具を落とせば、白くなるが、濁った色に少量の白を落としても白くはならず、さらに濁った色になる。幼い勝彦を突然預かる事になった光田たつは、かわいさ余って、まるで王子様を扱うように孫のわがままを受け入れた。誰でもが同じ状況になれば、たつと同じ行為を取るだろう、何しろたつには子供を育てる責任はなく、ただ預かっていれば良いだけなのだ。

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  勝彦がお菓子を欲しがればすぐに与え、勝彦が外に出たいと言えばすぐに付き添って外出していた。さらにたつは、勝彦の動きで何が言いたいのか考えるようになり、勝彦が口を開く前に行動に移すようになった。

 当然勝彦の中には、思えばそれだけで何でもやってくれる、という考え方が芽生えた。母の清子が退院し実家に帰っても、清子の退院後の経過が思わしくなかったこともあり、幼い心に育つわがままは増長するばかりであった。

  やがて勝彦のわがままは家族に対する物だけではなく、他人に対しても同じ感情を持つようになった。だが、他人が勝彦のわがままを受け入れる理由はなく、自分の思いを達する事が出来ない勝彦は、家族を含めた全ての他人に八つ当たりをするようになった。いわゆる「突然切れる男」になったのだ…彼を突然切れる男

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